【モデルプレス=2025/01/02】映画「雪の花 ―ともに在りて―」(2025年1月24日公開)で主演を務める俳優の松坂桃李(まつざか・とおり/36)にモデルプレスがインタビュー。俳優として第一線で活躍し続ける彼が現場で学んだ、新たな物事に一歩踏み出す方法とは。そして、夢を叶える秘訣・理想の夫婦像…様々な質問から、周りの人を大切にする松坂の“生き方”が見えてきた。【後編】【写真】松坂桃李、雰囲気ガラリの和装姿◆松坂桃李主演「雪の花 ―ともに在りて―」原作は、吉村昭氏が1988年に発表した「雪の花」(新潮文庫刊)。江戸時代末期を舞台に、数年ごとに大流行して多くの人命を奪う天然痘と闘った一人の町医者の実話を描いた物語。巨匠・黒澤明の助監督を務め、自身の監督デビュー作「雨あがる」(2000)以来、一貫して人間の美しい在り方を描いてきた小泉堯史監督が、日本映画界のレジェンドと言っても過言ではない熟練スタッフ陣とともに、丹精込めて作り上げた。◆松坂桃李、不安を跳ね除け一歩踏み出す方法松坂が演じるのは、福井藩の町医者・笠原良策。自らの利益を顧みず、天然痘に侵された日本を救おうと立ち上がった勇敢な男だ。かつてない予防法成功のため様々な困難に立ち向かい闘い続ける彼の強さは一体どこからくるのだろうか。良策として生きた松坂自身が分析した。「やっぱり医者としての志の高さが一番の根源だと思います。普通なら、まだ治療法もなく、専門の医者ですら手がつけられなかった恐ろしいものに対して恐怖や不安を抱くはずです。加えて当時は、蘭方学があまり受け入れられておらず風当たりが強かった中で、彼は予防法成功のため身を粉にして一から蘭方学を学び直します。大人になって社会の風潮と逆行することってすごく難しいですよね。良策には家庭がありますし、お金がかかる上に妻にも苦労をかけてしまう。言ってしまえば、自分の身内でもない他人のことであるにもかかわらず、人々の命を救うために1つの可能性を信じて立ち向かっていく姿に、医者としての志の高さを感じました。彼自身の本質は、なかなか真似できることではないと思いますが、こうやって立ち向かう人がいるからこそ、コロナや大きな震災の時も未来ある子供たちの命、そして自分たちの命が救われているのだと考えさせられます」新たな環境や未知の領域に飛び込むのは、やはり相当の覚悟と勇気がいる。多数の経験を通じ挑戦し続ける松坂に勇気を持って一歩踏み出す方法を尋ねると、今作の現場での経験と交えて丁寧に答えてくれた。「それこそ今回の現場はすごい緊張感でした。スタッフさんが黒澤組を経験した方々でもあるので、現場に入った時は今まで感じたことのないような空気感に包まれていましたし、リハーサルを入念に重ねたからこそ失敗もできない。フィルムの前で立ってお芝居をするプレッシャーもありました。でもそれと同時に、当時の黒澤組でお芝居をしていた大先輩たちもこの空気感の中でやっていたのかと思うと、ちょっとした高揚感も感じました。だから、たとえ不安なことでも、その中に自分が高揚するようなものや楽しいと思えるものを見つけられたら、思い切って飛び込むことができるんじゃないかな」◆松坂桃李「僕は強い人間ではありません」プレッシャーもポジティブな感情や自分の楽しみに変換することで、これまでも数多の現場で立ちはだかった壁を一つひとつ乗り越え、歩みを進めてきたのであろう。そんな松坂の姿からは、良策とも重なる内に秘めた芯の強さを感じさせるが、本人に強さの秘訣を聞いてみると意外な答えが返ってきた。「僕は強い人間ではありません。強くありたいとは思いますけどね…全然強くないんです(笑)。でも人間だから挫けることは当然ありますし、最近は頑張って強くなる必要はないのかなと考えています。だからこそ周りの人がいると思うので、まずは肩の力を抜いて。自分が完璧でないと思えば、素直に周りに助けを求めることができるし、周りにも優しくできると思います」◆松坂桃李が語る理想の夫婦像松坂が一貫して伝えている周りの人の大切さ。劇中では、芳根京子演じる妻・千穂が、良策にとっても特に大きな支えになっている。 映画「居眠り磐音」(2019)以来の共演となる芳根について「撮影の3ヶ月ぐらい前から(太鼓を演奏するシーンのために)太鼓の練習をしていて、久しぶりに現場でお会いした時には腕にテーピングをぐるぐる巻いていました。現場では、空いている時間にマイバチで枕を叩いて練習していたみたいで、きっとすごく疲弊していたと思いますが、表に立った時にはその苦労を微塵も見せることはありません。その凛とした姿や肝の座り方は、千穂がどんなに裏で大変でも良策の前ではしなやかな笑顔で明るく振る舞ってくれる姿とリンクしていました」と役柄と重ね合わせながら印象を語った。天然痘と闘い続ける良策と、彼を太陽のような明るさと包容力で支え続ける千穂――笠原家の夫婦関係について「1つの夫婦の在り方として素敵だなと思います。1歩下がってついてきてくれる奥ゆかしさがありながらも、ここぞというときはしっかりと引っ張ってくれる千穂の強さに、良策も惚れたのかなと思います」と話す松坂。では、松坂の理想の家族像は?問いかけると「風通しのいい夫婦」と挙げ、「お互いにストレスを溜め込んだまま日々を過ごすのではなく、もしストレスが溜まりそうになったら都度ちゃんと話し合うようにして、どこかで発散する場所を設けることが大事だと思います」と1人で抱え込まず、自分が思ったことを伝える大切さを言葉に。これは夫婦間に限らず、どんな間柄でも自身の“心”と向き合うために必要なことだろう。今作は疫病が題材となるが、表面上の病だけでなく、心を健康に保つことも忘れてはならない。松坂は“心の健康”を保つために「家事や育児」を大切にしているという。「仕事を休むことで家族との時間が増えていって、それが心のケアになっています。働くためにはしっかり休まないといけないし、休んだからには頑張って働くという仕事と休みのバランスが一番の心の栄養になっていると思います」と目を細めた。◆松坂桃李の夢を叶える秘訣自分の内面や周囲から目を背けることなく、正面から向き合い続ける松坂。そんな彼の“夢を叶える秘訣”とは――。「寝る前に自分の成功している姿を3回以上想像すること。オリンピック選手の方々もやっていると聞いたことがあるのですが、これをやった時とやらなかった時とでは成功率が全然違うらしいです。漠然としていてもいいので、自分が“こうでありたい”というイメージを3回思い出します。僕は、撮影が成功してみんなの喜んでいる顔やクランクアップでみんなが良い笑顔になっている姿を想像したりしています」自分の成功している姿として思い浮かべている情景が、自分1人だけでなく現場全体であるところが実に松坂らしい。周りの人たちを大切にしながらも、力を入れすぎず、時には誰かを頼りながら乗り越えていく。本作の「ともに在りて」というタイトル通り、松坂の言葉の端々からは、まさに誰かと手を取り合いともに歩みを進めていく“生き方”を感じとった。(modelpress編集部)◆松坂桃李(まつざか・とおり)プロフィール1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。2009年、テレビ朝日系ドラマ「侍戦隊シンケンジャー」で俳優デビュー。映画「孤狼の血」で第42回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞、映画「新聞記者」で第43回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞などを受賞。近年の主な出演作はドラマ「VIVANT」(2023/TBS)、「離婚しようよ」(2023/Netflix)、映画「流浪の月」「耳をすませば」「ラーゲリより愛を込めて」(2022)、「ゆとりですがなにか インターナショナル」(2023)、「スオミの話をしよう」(2024)など。2025年は、TBS系新春SPドラマ「スロウトレイン」の放送を1月2日に控えるほか、TBS系日曜劇場初主演作となる「御上先生」が1月19日よりスタート。5月23日に映画「父と僕の終わらない歌」、6月には映画「フロントライン」が公開予定。【Not Sponsored 記事】
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