エイズと闘う子供たちへの寄付のため、1993年に岸谷の呼びかけで始まったチャリティコンサート「Act Against AIDS」(略称AAA)が、2020年に名称を「Act Against Anything」と改め、エイズ以外にも幅を広げた支援活動を行なってきた。「Act Against Anything」としては3度目、日本武道館での公演は4年ぶりとなる。
2024年の「Act Against Anything VOL.3『THE VARIETY 29』」のサブタイトルは、“皆でチャリティ!異業種エンターテイナー団結!武道館降臨!”。岸谷、寺脇と舞台や映像で共演してきた俳優陣をはじめ、実力派ミュージシャンやお笑い芸人ら、異業種で活躍するエンターテイナーたちが武道館に集結。歌って踊って大いに笑って、渾身のパフォーマンスに会場は終始多幸感に満ちていた。
会場が暗転すると、ステージ両サイドのスクリーンに「Act Against Anything VOL.3『THE VARIETY 29』」に向けた岸谷からのメッセージが流れた。チャリティコンサートを続けていくことの難しさ、子どもたちが悲しむような出来事がなくならない世界に対しての憤り、そして“愛しい後輩”である三浦春馬の志を胸に続けていくこと。そんな熱い想いが綴られていた。
現在公演中の森雪之丞作、岸谷五朗演出のミュージカル「SONG WRITERS」からは、中川晃教、屋良朝幸、武田真治が登場。メインテーマの「ソングライターズ」では、W主演の屋良と中川が軽やかなステップで歌い踊り、武田はサックスを演奏。ロックチューンの「ハッピーエンドが待っている」では、岸谷と藤林美沙も加わり、エネルギッシュな歌とダンスで魅了した。続いて、ステージに現れた大きな階段の上には甲斐翔真。舞台「next to normal」より、「I’m Alive」を凛々しい歌声で響かせ、ピアノの調べとともに登場した城田優は、「夢の種〜I’ll be by your side」を情感たっぷりに届けた。
岸谷と寺脇が主催する「地球ゴージャス」も今年で30周年。舞台で生まれた名曲たちが聴けるのも、「Act Against Anything」のハイライトの1つである。『地球ゴージャス』を飾る俳優陣がステージに集結し、地球ゴージャスコーナーのオープニングを飾った「X day」からは「奇跡の唄」、桑田佳祐の楽曲による音楽劇「クラウディア」からは「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」と「真夏の果実」、『クザリアーナの翼』からは「ジャメーリアよ!蜂起せよ」と「クザリアーナの翼」をセレクト。「The PROM」の「Dance with you」では、ボーカルをとった三吉彩花と葵わかなが最後にハグをするシーンも。同じく『The PROM』から「It’s Time to Dance」、「The Love Bugs」から「伝説の雄(おとこ)」、そしてラストは『星の大地に降る涙』の「愛すべき未来へ」と、圧巻のパフォーマンスで締め括った。
「AAA報告」のコーナーでは、2022年神奈川・パシフィコ横浜で開催した「Act Against Anything VOL.2『THE VARIETY 28』」で得た寄付金額と、その使い道について報告した。「Act Against Anything VOL.2」での寄付金総額は834万8680円。寄付先である「特定非営利活動法人国連UNHCR協会」を通じてウクライナ緊急支援に、「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」を通じてトルコ・シリア大地震の支援に充てられた。
◆.ENDRECHERI.(堂本剛)、3曲披露
最後のアクトとして岸谷と寺脇が.ENDRECHERI.(堂本剛)を呼び込むと、大きな歓声があがった。演奏に入る前に彼は静かに語った。「僕が音楽に込めている想いは3つあります。1つは命、2つめは平和、3つめは愛です」。今回披露する3曲は、それぞれのテーマから選んだという。1曲目はフリーセッション。.ENDRECHERI.バンドのメンバーと命を重ねるように、ギターをプレーし、熱いセッションを展開。次は平和をテーマにした「LOVE VS. LOVE」を、最後は愛をテーマに作ったというシンガーソングライターとしてのデビュー作「Machi....」をじっくりと聴かせた。
ラストは全出演者がステージに集結して、「Act Against Anything」で歌い継がれている「一人じゃないから」を大合唱。感動が渦巻く中、約3時間のステージは終了した。