【モデルプレス=2024/08/03】7月25日に配信がスタートしたNetflixシリーズ「地面師たち」。配信から数日で日本の「今日のTOP10(シリーズ)」で1位を獲得するほどの話題ぶりだが、そんな物語のキーパーソンとなるのが尼僧の川井菜摘。演じたのは女優・松岡依都美(まつおか・いずみ)だ。日本を代表する俳優陣の中で名演技を見せ、観た者に強烈なインパクトを残した彼女に話を聞いた。<※一部ストーリーに触れている部分あり>【写真】「地面師たち」尼さん役、“裏の顔”が別人級 視聴者衝撃◆綾野剛&豊川悦司主演「地面師たち」地面師とは、他人の土地の所有者になりすまして売却を持ちかけ、偽造書類を使って多額の代金を騙し取る、不動産詐欺を行う集団。そんな地面師たちの実態を入念なリサーチのもとエンターテインメント小説へと昇華した、新庄耕の「地面師たち」。その小説で描かれる地面師たちの詳細な手口と、手に汗握る駆け引きの面白さに魅了された映像ディレクター・大根仁が、自ら出版社に映像化を交渉し、Netflixに持ち込んだことから本作は始動した。舞台は再び土地価格が高騰し始めた東京。辻本拓海(綾野剛)はハリソン山中(豊川悦司)と名乗る大物不動産詐欺師グループのリーダーと不動産詐欺を働いていた。次のターゲットは過去最大の100億円不動産。地主や大手デベロッパーとの狡猾な駆け引きが繰り広げられる中、警察が地面師たちの背後に迫る――。三つ巴の争いと度重なる不測の事態は多くの視聴者を虜にし、イッキ見する人が続出した。松岡演じる川井菜摘は、港区高輪にターゲットとなる市場価格100億円超の広大な土地を所有している尼僧。長年土地を手放さずにいたが、地面師たちが彼女の「秘密」である“夜の顔”を探り当てたことで、物語は大きく展開していく。◆「地面師たち」松岡依都美、尼僧ビジュアル完成までに2時間半― 川井菜摘は物語の鍵を握る重要なキャラクターですが、まずは出演決定までの経緯を教えてください。松岡:大根監督とはNHKの大河ドラマ「いだてん」(2019)で初めてご一緒させていただきました。今回は監督から「松岡さんで」とオファーを頂いたと聞いています。覚えていてくれたのだととても嬉しかったです。― 尼僧のビジュアルを作り上げるまでのヘアメイクには、具体的にどのくらいの時間がかかっていたのでしょうか?撮影の度にこの姿に変身されるのは大変だったかと思いますが、撮影はまとめて行われることが多かったのでしょうか?松岡:ビジュアル作りはメイク含め2時間半ほどかかっていたと思います。撮影はまとめて撮る日はほとんどなく、毎回一から作っていました。作るのも時間はかかりますが、剥がすのも結構時間かかりましたね。夏場の撮影だったのでなるべく本当の頭皮(笑)から汗をかかないようにと、メイクさんたちがギリギリまで首回りなど冷やしてくれていました。◆松岡依都美、般若心経の暗記に苦労― 尼僧の姿とは異なる裏の一面が発覚したことで大きく物語が動いていきますが、二面性のある役柄を演じる上で意識したことを教えてください。松岡:脚本がそのように描かれていたので意識したということではないかもしれませんが、尼僧の時は粛々と、淡々と。夜の顔の時はいかに女としての欲望を素直に出せるかというギャップを表現できたらいいなと思っていました。 ― 般若心経を唱える長台詞に加え、ホストたちや綾野剛さんとの体当たりベッドシーンなどもありましたが、最も撮影が大変だったのはどの場面ですか?松岡:撮影自体、私自身大変さはあまり感じませんでした。絡みのシーンの撮影の時は共演者もスタッフもとても気遣ってくれて丁寧に作り上げてくれましたし、般若心経のシーンも集中させてもらえる環境下にありました。何よりも心配だったこと…それは般若心経を覚えるということでした(笑)。仏事指導の方に覚えるコツを聞いたら「ひたすら唱えることしかありません」とのことだったので、とにかくひたすら唱えていました。おかげで今でも唱えられます(笑)。◆松岡依都美、綾野剛との再共演で刺激― 同作には日本のエンタメ界を代表する俳優さんが集結しています。そんな方々との共演シーンで刺激を受けた出来事を教えてください。松岡:綾野剛さんとは映画「日本で一番悪い奴ら」(2016)以来だったのですが、今回ある意味がっつりと絡ませていただきました。そして、改めて、彼のストイックな役との向き合い方や、凄まじい集中力、アイデアの引き出しの多さ、スタッフや共演者への気遣いなど、役者としても人としてもとても素晴らしく、ものすごく刺激をうけました。― 今作をきっかけに初めて松岡さんを知った方もいらっしゃると思います。改めて松岡さんの俳優活動のきっかけとこれまでの経歴、今後どのような活動をしていきたいかをお聞かせください。松岡:高校生の時に市民ミュージカルに出演したことが一つのきっかけとなりました。そこで、表現することの楽しさを味わい、本格的に勉強したくなって、大阪芸術大学舞台芸術学科へ入学しました。4年間舞台の勉強をして、やはり舞台を中心にやっていきたかったので文学座を受験しました。運良く合格出来て今に至ります。まさか自分が映像の世界に行けるとは夢にも思っていなかったので、今こうして映画やドラマに出演できることを本当に感謝しています。これからも舞台を中心にしながらも、たくさんの映像作品に出られたら嬉しいです。そして見るたびに“顔”が違う人物を演じられるようになりたいです。(modelpress編集部)◆松岡依都美(まつおか・いずみ)プロフィール三重県出身。文学座所属。2014年に「凶悪」で第28回高崎映画祭 最優秀新進女優賞、2020年に「きらめく星座」「五十四の瞳」で第55回紀伊國屋演劇賞 個人賞を受賞。 近年の主な出演作品に、舞台「たわごと」「夏の砂の上」、ドラマ「地面師たち」(Netflix)、映画「遠いところ」「正欲」「親のお金は誰のもの 法定相続人」「万引き家族」など。8・9月にはイキウメ「奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話」の出演を控える。【Not Sponsored 記事】