恋愛とは、お互いの生の自意識をぶつけ合う行為(だからこそ、ありえないほど傷ついてしまったり、他のことでは経験できないほど成長できたりするわけです)。仲のよかったふたりが別れを迎えると、振られたほうにはどうしても執着が発生してしまい、時にはそれがストーカー行為にまで発展してしまうことがあります。
ストーカーには大きく分けて、「You型」と「Me型」のふたつがあります。
「You型」のストーキングを行う人の意識は、ただひたすらに相手に集中します。相手を手に入れたいという純粋な思いこみが原動力。相手は何を考えているのか、今何をしているのか知りたい、あの人と自分はうまくいくはずだ、こんな風にふたりは付き合えるはず…。女性から男性に向けられるものや、憧れが強いファン心理からくる場合が多いようです。
「Me型」の場合、大事なのは相手ではなく自分です。傷つけられた自尊心の代償を支払わせたいという思いが出発点。自分ほどの人間がなぜ否定されなければならないのか、納得できない、「間違いだった、やり直したい」と言わせないことには、自分が壊れてしまう、恥をかかされた、怒りがおさまらない・・・。男性から女性に向けられる執着や、挫折に慣れてないプライドの高い人が引き起こしがちなパターンです。
相手のことと自分のことをバランスよく考えられる感覚こそ、健全な人間関係には不可欠です。
ある女性(31)は、3年前に自分を振ってくれた男性に感謝しているそうです。あのとき振られたからこそ、自分の人生観の甘さに気づけたし、そこから変わろうと思えたし、いま付き合っている彼のよさもわかるようになれた。だから、元彼に対しては「ありがとう」という気持ちしかないのだとか。
逆にある女性(28)は、長くつきあっていた男性となかなか別れられず、情に流されるままズルズルと関係を続け、心の底から嫌いになってからようやく振ったのですが、おかげですっかり男性不信になり、なかなか次の恋愛に行けず困っています。
このように「振ったほうが上の立場、振られたほうが不幸」という単純で幼稚な図式から自由になることこそ、いつの日か自分がストーカーになってしまわないための予防策と言えるでしょう。
[ライター 五百田達成/「恋と仕事のキャリアカフェ」主宰、オトナ女子の恋愛・結婚・仕事の悩み相談を受ける恋愛カウンセラー。TBSバラエティ番組「私の何がイケないの?」にも出演。詳細はオフィシャルブログ(http://ameblo.jp/iota-s/)まで]
[photo by:Gibsonclaire]
《NewsCafeコラム》
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