2025年1月15日、78歳で生涯を閉じた映画監督デヴィッド・リンチ。“カルトの帝王”として、世界中の映画人と観客を魅了し続けた巨匠であり、長編映画は10本。
1976年のデビュー作『イレイザーヘッド』以来、“カルトの帝王”として世界中を魅了し続けた巨匠の長編最終作『インランド・エンパイア』(2006)が、生前の本人監修による4Kリマスター版として蘇る。
本作は、監督・脚本から撮影・音楽・編集に至るまでデヴィッド・リンチ自らが手掛けた、最も濃密な1作。ローラ・ダーン演じる、映画への主演が決まった女優を主人公に、現実と映画の境界が次第に曖昧になっていく悪夢のような不条理劇を描く。その蟲惑的な難解さに満ちた内容に、本人が残した言葉はただ1つ――“about a woman in trouble”(トラブルに陥った女の話)。謎が謎を呼ぶ物語は、公開当時から賛否を巻き起こし、いまもなお伝説として語り継がれる。
制作の発端は、近所に越してきたローラ・ダーンとデヴィッド・リンチの偶然の再会から。彼女のために14ページのモノローグ脚本を用意し、全体の脚本を完成させないまま、各撮影現場で思いついたシーンをその都度、撮影を行った。撮影中に浮かんだアイデアを次に撮る――その繰り返しによって、デイヴィッド・リンチ自身も完成形がどのようになるのか分からなかったと語っている。
また、本編はすべてSONY PDー150(デジタルビデオカメラ)で撮影されたことでも知られ、日本の女優・裕木奈江も出演していることでも話題となった。そして2026年1月、没後1年、初公開から20年。2つの節目が重なる時期に4K映像で甦る。
この度解禁されたティザービジュアルは、4K版公開に際して本国で制作され、デヴィッド・リンチが生前最後に承認したビジュアルを踏襲したもの。本作の舞台であるロサンゼルスの暗闇の中に浮かび上がるローラ・ダーンの表情を中心に据えた、強烈でミステリアスなデザインとなっている。あわせて公開された予告編では、ローラ・ダーン演じる女優・ニッキーが、次第に精神的な追い込みと混迷の中へと沈んでいく姿が印象的に描かれる。
場面写真では、ニッキーの姿をはじめ、ウサギの頭をもつ人物たちが一室に佇む不可思議な光景などが捉えられている。また、ニッキーの周囲にたびたび現れる謎の文字など、一見しただけでは理解の及ばない監督独特の難解さに満ちたカットが並んでいる。
『インランド・エンパイア 4K』は2026年1月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて順次公開。











