
高市首相、ご就任おめでとうございます。2025年9月に創業109年を迎えた主婦の友社は一貫して「家庭の幸福と女性の地位向上」を祈り出版活動を続けてきました。日本憲政史上初の女性首相の誕生を心よりお祝い申し上げます。
賛成反対、どちらの立場であれ、働く女性陣として「初の女性首相に願うこと」をオトナサローネ執筆チームがリレー連載します。ヤベミユキさんは日常、イラストビューティ・ファッション記事でメイクポイントやファッションコーデを連載中。その視点からのメッセージです。
TOPイラスト/ヤベミユキ
【女性首相誕生に思うこと、願うこと】#4
「まとう」という新しい時代が始まった
女性首相が誕生するというニュースに、胸が静かにざわつきました。
政策よりも先に目に飛び込んできたのは、深い青のスーツと一連のパール。
スカートの裾がわずかに揺れたその瞬間、
「戦う」ではなく「まとう」という言葉が、ふと頭に浮かびました。
昨年の総裁選のときとは違い、少しやわらいだメイク。
まなざしの奥には、決意とともに、ほんの少しの疲れもにじんで見えた。
強さとは、力を振りかざすことではなく、
恐れや不安を抱えながらも、静かに立ち続けることなのかもしれません。
ファッションやメイクは政治とは関係のないものに見えますが、
女性が何かを成し遂げようとするとき、
「どう見られるか」は、静かに背中を押す力にも、重さにもなる。
あの青には、そんな覚悟が透けて見えるようでした。
深い青が持つ力
深い青という色には、不思議な力があります。
落ち着きや知性を象徴しながらも、内に秘めた闘志を感じさせる。
総裁選で高市さんがまとっていた青は、
そんな“静かな闘志”の色に見えました。
そして首相会見の日。
彼女は、真夜中のようにさらに深い青のジャケットをまとっていました。
布地には、まるでゴッホの絵のような模様がさりげなく浮かび、
光を受けて静かにゆらめいていた。
リップはコーラルから凛としたローズへ。
透き通るような肌が青いカーテンの前でいっそう際立って見えました。
その変化に、私はひとつの決意の深まりを感じました。
「戦う人」ではなく、「責任を背負う人」へ。
鮮やかな青が、夜の深みを帯びた青へと変わる。
それはまるで、女性が人生の節目でまとう色の変化のよう。
パールの輝きはそのままに、
総裁選の時よりも少しやつれた顔の中で、唇の色だけが意志を宿していました。
強さを示す鎧のようなスーツの中で、
まなざしとリップが、静かな情熱を語っているように見えたのです。
「戦うだけの人ではない」。
そうではなく、「信じるもののために立つ人」。
その姿が、そこにありました。
「まとう」力を手に入れたリーダーに思うこと
政治という世界の遠くで、
私たちの日常もまた、小さな「まとう力」でできています。
メイクを変えること、服を選ぶこと、
声を出すこと、沈黙すること。
そのひとつひとつに、自分を信じる意志が宿っています。
画面の向こうの深い青を見ながら、私は思いました。
「女性首相」という言葉よりも先に、
その色が語る“決意の静けさ”を忘れずにいたい。
いつか私も、自分の信じる青をまとって立てるように。




