こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。
【アラフィフライターの介護体験記】#21
▶ただの反抗?
大好きだった炭酸飲料も今年は手つかず。義母が水分補給を嫌がるのは、ただの反抗か?
3年ほど前、脳神経外科にて「認知症」(軽度~中等度)という診断を受けたお義母さん。現在は、我が家の近くにある<サービス付き高齢者向け住宅>(サ高住/食堂付き)で暮らしています。前回は、「水分を取らない」「部屋が暖房でサウナ状態」など、“夏のお困り事”についてお話ししました。今回はその続きから~。
「暑いと思わない」「喉の渇きを感じにくい」「汗をあまりかかない」などの理由から、熱中症を発症しやすいとも言われている高齢者。体内の水分量が若い人より少なく、暑さや喉の渇きを感じにくくなる傾向があるようです。そのため、喉が渇いていなくても、こまめな水分補給は重要とされています。
しかし、相変わらず水分補給を拒み続けるお義母さん。もともと頑固で人に強要されるのが嫌いな性格を考えると、このまま「飲むように勧める」を続けても、おそらく逆効果。
そこでケアマネージャーに相談したところ、「なぜ、水分補給を嫌がるのか?」の理由を一度明確にしたうえで、「徐々に飲んでもらえる方法を考えてみては?」とのアドバイスがありました。
振り返れば、昨年の夏は「炭酸っていうの? シュワシュワするのが飲みたいわ」とサイダーにハマっていて、「さっぱりしていて美味しい~」と気に入り冷蔵庫に何本もストックしていたほど!
さらに麦茶や緑茶にも“推し”があり、水分摂取量の目安と言われる1日あたり1.2(※1)には届かないものの、それなりに飲んでいたと思うのですが……。今年はサイダーを買って行っても見向きもせず、“推し”への熱もすっかり冷めてしまったようなのです。
(※1)参考:厚生労働省「高齢者のための熱中症対策」
「あんまり飲め飲めうるさいから、単に反抗しているだけじゃない?」と夫は言っていましたが、私はお義母さんの拒む様子から、「何か理由があるのでは?」と感じずにはいられませんでした。
▶義母の本音とは?
「お手洗いに行きたくない」の言葉に隠された義母のホンネ
そんなある日、お義母さんが通っているデイサービスから連絡が!
デイの担当者:「昨日はずっと楽しそうに過ごされていましたよ。麦茶に少しお砂糖を入れたものをお出ししたら、気に入っていただけて。飲む量は少な目ですが、ひとまず好みのモノが見つかってよかったです」
私:「そうですか! いろいろ工夫していただき、ありがとうございます」
デイの担当者:「ただ、昨日は1回もお手洗いに行かなくて。何度かお声がけしてみましたけど、『行きたくない』と……。もしかすると数週間前にお手洗いに行った際、中から『ちょっと見てほしい』と言われたんです。問題なく排泄されていましたが、何かご自身で困ることがあったのかもしれませんね」
私:「あっ……」
そういえばデイサービスの連絡帳には、そんな報告があったような……。そして私はこの話を聞き、「水分を取らない」との繋がりが見えた気がしました。
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