洋服が散乱した室内で真夏に「厚手のセーター」を着る義母。「季節が分からない!」それも認知症の症状です | NewsCafe

洋服が散乱した室内で真夏に「厚手のセーター」を着る義母。「季節が分からない!」それも認知症の症状です

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洋服が散乱した室内で真夏に「厚手のセーター」を着る義母。「季節が分からない!」それも認知症の症状です

こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。

【アラフィフライターの介護体験記】#21

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▶デイサービスの担当者からのある提案

「お手洗いに行きたくない」の言葉に隠された義母のホンネ

お手洗いの使い方に何らかの不安を感じたため、スタッフへ声をかけた。でもお義母さんにとって、トイレの中から助けを求めるような行為は、きっと耐え難かったに違いない。それがトラウマとなり、「お手洗いの利用を避けたい→水分を取らない」となったのではないか?

その後デイサービスの担当者からは、「今後のことを考えると、リハビリパンツ(リハビリテーションパンツ)(※2)の使用を検討してみても良さそうですね」といった話がありました。実は最近ヘルパーさんからも、「下着の汚れ具合がちょっと気になるので、リハビリパンツにしてみましょうか?」と提案されていたのです。

(※2)下着のように穿けるショーツ型の紙パンツ。突然の尿漏れへの対策や自立排泄を促すトイレトレーニングの一環であることから、このように呼ばれている。

「なぜ、水分補給を嫌がるのか?」の理由がデイサービスのお手洗いに関することであれば、デイサービスに行かない日も水を飲まないのは少し謎。でも、これを機にリハビリパンツを勧めてみるのはアリかもしれません。

それこそ、プライドの高いお義母さんがリハビリパンツを着用するのはやや難しそうですが、そこはケアマネさんとも相談し、前回の「カットモデル作戦」同様「商品モニター作戦」を決行する予定。今はやんわり、「リハビリパンツっていう便利なものがあってね~」と伝えているだけですが、まずまずの感触。良きタイミングをうかがっているところです。

▶真夏にニット!?

散乱した服と真夏のハイネック。デジャブ”が告げる次の不安

こうして一歩前進したかに思えた矢先、また別の問題が……。先日、病院に行くためお義母さんのもとへ。インターホンを鳴らしても応答がないので持参した鍵で開けたところ、部屋の中は洋服が散乱、足の踏み場もない状態になっていたのです。

洋服が山のように積まれた先には、厚手のハイネックセーターに身を包むお義母さんの姿が! 冷房は自動運転になっており、部屋の温度は28。陽射しも差し込み、そこまで部屋が冷えているとは思えない。よく見ると、お義母さん自身も扇子を使って暑そうにしています。

「えっ、デジャブ……?」

その光景を見た瞬間、私は今年の冬にほぼ同じ状況があったことを思い出しました。暖房を切ってヒンヤリした部屋の中で、半袖Tシャツに薄手の七分丈ズボンを着用していたお義母さん。そのまま出かけようとしたのを慌てて引き止めると、「何よ、これじゃダメなの?」と若干キレ気味に。

どうやらこの頃からお義母さんは、季節に合わせた洋服選びが困難になっていたようです。当時、「今日は何日?」「今は夏なの?」とたびたび質問していたことも気になり、かかりつけ医に相談したところ「その症状は日付や季節、自分のいる場所などの認識が薄れてしまう『見当識障害』(※3)かもしれません」といった話がありました。

(※3)認知症の中核症状のひとつ。時間や場所など、自分が置かれている状況が正しく把握できなくなり、「時間→場所→人物」の順番で認識することが難しくなる。

▶義母の異変は次々と…

衣替えしたはずの冬服は再びクローゼットに逆戻り?

確かにデイサービスや病院に行く日を忘れてしまうだけでなく、朝の8時にオープンする食堂へ6時に行ってみたり、お風呂の時間を忘れないように念押ししたら何時間も前から準備していたり、真夜中に親戚や友人に電話していたことも!

そんな“異変”が少しずつ目立ち始めるようになったのですが、中でも「今の季節が分からない」は、お義母さん自身も特に不安を感じていたようで、「ねぇ、私の着ている洋服って、おかしいのかしら? 〇〇さん(食堂で会う友だち)に、『どうしてそんな暑苦しい恰好してるの?』って言われちゃったのよ。じーっと見てくる人もいるし、もう何を着たらいいか分からない……」と、プチパニック状態に。

せっかく春先に衣替えをして収納したはずの冬服が、再びタンスやクローゼットに登場(涙)。逆に夏服のほとんどを衣装ケースや段ボールに入れてしまったようで、「季節に合わせた洋服選び」をするために、これから気の遠くなるような作業が待っていますが……。この続きは、また次の機会にお話ししたいと思います。


《OTONA SALONE》

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