「がんの治療法の情報をしっかり集めて」YouTubeチャンネル登録者数20万人の”がん専門医”が教える「セカンドオピニオンを上手く活用する方法」 | NewsCafe

「がんの治療法の情報をしっかり集めて」YouTubeチャンネル登録者数20万人の”がん専門医”が教える「セカンドオピニオンを上手く活用する方法」

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「がんの治療法の情報をしっかり集めて」YouTubeチャンネル登録者数20万人の”がん専門医”が教える「セカンドオピニオンを上手く活用する方法」

日本では、今や「2人に1人ががんになる時代」と言われており年間100万人以上が新たにがんと診断されています。

がんと診断された本人、あるいはがん患者の家族が治療やその後の生活において取り入れたいセルフケアをまとめた『がん患者が自分らしく生きるためのセルフケア大全』(CEメディアハウス)が6月10日に発売されました。

本記事ではがんサバイバーがいかに希望をもって自分らしく生きていくかについて考えたいと思います。

※この記事は『がん患者が自分らしく生きるためのセルフケア大全』(CEメディアハウス)から一部を抜粋・編集してお届けします。

セカンドオピニオンを検討する

がんの治療で最も大切なことは、自分のがんの状態や治療についての情報をしっかり集めること、そして主治医や家族と十分に話し合ったうえで、最終的に自分で選択した治療を納得して受けることです。

がんの診断や主治医が提案した治療法に納得できない場合には、他の医師にセカンドオピニオンを求めることになります。最近ではセカンドオピニオンが一般化し、珍しいことではなくなりました。

ちなみに、国立がん研究センターが実施した患者体験調査報告書(令和5年度)によると、全国の1万人以上のがん患者さんのうち、14.3%がセカンドオピニオンを受けたと回答しています。

セカンドオピニオンとは、患者さんが自身の病状や主治医の提案した治療法について、違う医療機関の医師に「第2の意見」を求めることです。

がん治療など専門性の高い医療機関の多くはセカンドオピニオン外来を設置しており、その数も増えつつあります。

私も基本的にはセカンドオピニオンを求めることを推奨しています。特に治療が難しい進行がんのケースではできるだけ受けてもらいたいと考えています。ただし、いくつかの注意すべき点があります。

セカンドオピニオンの目的は、「患者さんにとって納得のいくベストの治療法を、患者さんと主治医との間で判断するために、別の医師の意見を聞くこと」です。したがって、大前提として主治医の了解を得たうえでセカンドオピニオンを申し込みます。

また、セカンドオピニオン先が決まったら診療情報提供書(いわゆる紹介状)が必要になりますので、主治医に依頼しましょう。

「セカンドオピニオンを申し出たら主治医が気を悪くするのでは?」と心配し、なかなか切り出せないという患者さんもいらっしゃいます。しかし、そのような心配はまったく無用です。

セカンドオピニオンは患者さんの当然の権利ですので、気を悪くする医師のほうがおかしいといえるでしょう。もし主治医に直接言いにくいのであれば、病院の患者相談窓口に伝えることもできます。

転院・転医との違い

患者さんのなかには、主治医と相性が合わないのでここでは治療を受けたくない、もっと信頼できる医師に診てもらいたい、あるいは病院の設備がもっと整ったところで診断・治療を受けたい、という方もいらっしゃるでしょう。

このような場合は、セカンドオピニオンではなく、転院・転医となります。また、セカンドオピニオンと同様に診療情報提供書が必要になりますので、具体的に移りたい病院名やかかりたい医師の名前を主治医に伝える必要があります。

セカンドオピニオンのタイミング

では、セカンドオピニオンを切り出すタイミングはいつが良いのでしょうか? 基本的にはどの時点でも良いのですが、一般的にセカンドオピニオンを申し出るのに適したタイミングをいくつかあげておきます。

 

・がんの診断に関する主治医の説明に納得がいかないと感じたとき

・ひと通り検査が終わり、主治医から治療の提案があったとき(治療が開始される前)

・主治医の提案する治療方針に納得がいかないと感じたとき(あるいは他の治療のオプションについて知りたいとき)

・がんが再発あるいは進行し、主治医から「これ以上効果の期待できる治療法がない」と告げられたとき

このように、治療前、治療中、あるいはいったん治療が終わってからでもセカンドオピニオンを求めることはできます。ただ、実際には、なかなかセカンドオピニオンの申し出が難しいと感じる患者さんが多いのも現実です。

主治医に遠慮する必要はまったくありませんので、セカンドオピニオンを受けたい旨を率直に主治医に伝えてください。セカンドオピニオン外来を受診する際には、漠然と受診するのではなく、目的を明確にする必要があります。

また、その目的によっては対応する医師が変わることもありますので、できるだけ目的(質問事項)を事前にセカンドオピニオン先に伝えておく必要があります(今では、ほとんどのセカンドオピニオン外来で、申込書に具体的な質問内容を記載する項目があります)。

例えば、主治医が提案した手術に関して意見を求めたいのであれば外科の医師が対応することになりますし、抗がん剤治療については主に内科(腫瘍内科など)の医師、また放射線治療については放射線科の医師が対応することになります。

セカンドオピニオンのデメリット・注意点

多くの患者さんやご家族は、セカンドオピニオンではもっと良い意見が得られるのではないかと期待をします。ところが、主治医の意見(ファーストオピニオン)と比べ、セカンドオピニオンのほうが必ずしも優れているというわけではありませんし、期待を裏切られるケースもあります。

ときにはファーストオピニオンとセカンドオピニオンが相反する意見となることもあり、混乱してしまうこともあります。時間の制約上、単に標準治療の解説にとどまり、十分な説明が得られないまま終わってしまう可能性もあります。

さらに、セカンドオピニオンは(病院によって異なりますが)受診までに時間がかかりますし、お金もかかります。さらに、セカンドオピニオンの結果で転院となった場合には、これまで受けてきた検査のやり直しが必要となる場合がほとんどです。

したがって、金銭的にも負担になりますし、その間にがんが進行する可能性があること理解しておく必要があります。

セカンドオピニオン先の医師には中立の立場が求められますが、なかには前の主治医(あるいは病院)を否定したり卑下したりするような医師や、自分の病院(あるいは関連施設)での治療をことさらすすめる医師もいますので、注意が必要です。

なかには相談に乗ってくれるどころか、ろくに話も聞かずに自分の意見を押しつけてくる医師もいます。実際に、セカンドオピニオンの医師に冷たくあしらわれて傷ついた患者さんもいらっしゃいます。

このようなセカンドオピニオンのデメリットや注意点も想定したうえで、セカンドオピニオンのメリットをうまく活用していただければと思います。

>>【関連記事】「がんと告知され頭が真っ白に…」YouTubeチャンネル登録者数20万人の”がん専門医”が教える「主治医にまず聞くべきこと」

■BOOK:『がん患者が自分らしく生きるためのセルフケア大全』(CEメディアハウス)

■著者 佐藤典宏(さとう・のりひろ)

帝京大学福岡医療技術学部教授。福岡県生まれ。九州大学医学部卒。2001年から米国ジョンズ・ホプキンズ大学医学部に留学し多くの研究論文を発表。1000例以上の外科手術を経験し、日本外科学会専門医・指導医、がん治療認定医の資格を取得。多くの人にがんに関する情報を提供するため、公式YouTube「がん情報チャンネル・外科医 佐藤のりひろ」を開設。チャンネル登録者数は20万人を超える(2025年4月現在)。『専門医が教える最強のがん克服大全』(KADOKAWA)、『がんにも勝てる長生き常備菜』(主婦と生活社)など著書多数。

がん情報チャンネル:https://ganninfo.jp


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