3日目は一転して山へ向かうアクティビティです。ケアンズは熱帯雨林(レインフォレスト)に位置するのですが、たとえば石垣島や西表島が持っているような「気を抜けば瞬時に人が負けるような」濃密な生命は感じません。おそらく島嶼ではなく、地球最古クラスの地殻を含む巨大な大陸の一部だということもあるのでしょう。
この日の私たちはさんざん蚊に刺されたのですが、かゆくなる人とならない人がいました。あのかゆみは蚊の唾液中のタンパク質に免疫系が反応しヒスタミンが放出されて起きると考えられます。要するに、私はまだオーストラリアの蚊に対して免疫が反応しないし、免疫系が敏感な人はすぐにかゆくなるということか。なるほどかゆくなったのは若いママだった。これが加齢か。
【ケアンズ3家族旅行記】#3
海アクティビティから一転して『世界の車窓から』キュランダ高原鉄道。「次はキュランダに停まります」
さて、皆様ご存じの『世界の車窓から』。この言葉を聞いただけであのテーマが脳裏に流れますが、本日は同番組でも知られる観光列車「キュランダ高原鉄道」に乗車します。列車でレインフォレストまで登り、観光地「キュランダ村」を散策したのち、90分かけて「スカイレール」というロープウェイで下山してくるセルフビルドツアー。いうなれば「箱根一周」のようなもので、登山電車で強羅まで登ってロープウェイで大涌谷を往復して、という感じです。
一般的にはキュランダ村はアボリジナルピープルのダンスなど民族体験をする場所だそうですが、私たちは「コアラの抱っこ写真が撮れる場所」として選択しました。おすすめは私たちとは逆ルート、往路スカイレールでキュランダに登り、ダンスと動物園と蝶を見てから、下りの列車のゴールドクラスでお酒(飲み放題)を飲みながら帰ってくるルートなのだとか。ちなみにオーストラリアは子どもだけでの乗車が認められないため、子どもだけ普通車両というわけにはいきません。
キュランダ村ツアーダイジェスト キュランダ鉄道、レインフォレステーション、スカイレール pic.twitter.com/rnLtRvb1FP
— MihoIno (@InoichiMiho) March 30, 2025
オーストラリアの開拓はアメリカよりおよそ150年ほど後に始まります。1788年、イギリスからフィリップ提督の船団がシドニーに到着し植民地化をスタート。1850年代には各地で金鉱が発見されゴールドラッシュに沸きます。少し遅れて1891年、キュランダ鉄道は鉱物や木材資源の輸送のために開通、豊富な熱帯雨林の木材のほか、アサートン高原周辺で産出する金鉱石、錫や銅をケアンズ港まで運ぶ役割を長きに渡り担いました。のちに険しい山岳地帯を走るルートと沿線の熱帯雨林、滝や渓谷の美しい景観が人気を集め、1980年代に今日のような観光列車に転換します。
……せっかくヒストリカルなサイトへ行くので、そんな話もきっちり子どもにしましたが、当然ながら1ミリも聞いてくれませんでした。
ふもとのケアンズ駅が始発ですが、私たちは手配のご指示で次のフレッシュウォーター駅に車を置いて乗車しました。チケットは当日でも購入可能で、地元の人も当日購入で乗りに来ていました。「世界の車窓から」ごっこをしやすい端っこの車両から埋まっていくようです。
ご覧ください、このクラシカルでステキな駅舎。ホームで列車の到着を待ちます。
車内もちょっとクラシック。4人掛け×2列、8人で1かたまりです。車中では車窓の解説がずっと流れていますが、英語なので頑張らないと聞き取れません。難工事だったこと、渓谷を縫うように走っていることなど。
途中の「世界の車窓から」スポットでは停まってくれるので、安心してゆっくりと写真を撮れます!
もうすぐキュランダという地点で現れる大きな「バロン滝」。ここではいちど下車して写真が撮影できます。
いろいろな国からのさまざまな世代のお客さんたちが、ニッコニコで滝バックの写真を撮っているハッピーな光景です!!! 海外で観光列車に乗るのってちょっとハードルが高いような気がすると思うのですが、この列車は観光客しか乗っていないのでとってもハードル低め。しかも、乗り逃してもバスやロープウェイで下山可能、そんな点も箱根周遊みたい。
いよいよキュランダ村。熱帯雨林の中の「天空の観光タウン」は自然観察もお買い物も楽しい
そしてキュランダ村になにがあるかというと……
ユーカリ食べてるコアラ pic.twitter.com/jNw6YXVTWl
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キュランダ駅近隣からバスで5分ほど移動した先にある「レインフォレステーション自然公園」にはアボリジナルピープルの文化に触れられる「パマギリダンスショー」「パマギリ・アボリジニ文化体験」、のほか、
「アーミーダック」という熱帯雨林を進む水陸両用車に乗ってのネイチャーツアーと、
コアラやディンゴ、カンガルー、ウォンバットなどオーストラリア固有種がコンパクトに見られる「ミニ動物園」がぎゅっと詰まっています。今回は後ろ3つ、「アーミーダック」と「ミニ動物園」に寄り、コアラ抱っこフォトを撮影しました!
逃げまどうワラビー。小さいワラビーはすぐ逃げてしまいますが、中くらいサイズのコはそれほど人を恐れないので、触ることもできました。耳の後ろを掻いてもらうのが好きなんだそうです、犬や猫とちょっと近い部分がありますね。
これらキュランダにまつわるアクティビティは高度にカスタムが可能です。詳しくは下記サイトの「ご予約」からご確認ください。
https://jp.rainforest.com.au/army-ducks/
いろいろなルートで周遊できるのですが、オペレーターが入り組んでいてややこしく、私も行くまで何がどうなっているのかほぼわかりませんでした。そのかわり、どこから申し込んでもプライスはおおむね同一ですし、ドライバーはじめスタッフの皆さんはびっくりするほど丁寧に対応してくれます。
とはいえ初めてのケアンズならば日本語のガイドさんがついてくれるツアーで回ったほうがいいかも。特に熱帯雨林のネイチャー体験は日本語の説明がないと「半分くらいわからない」ままで、非常にもったいないなと思いました。
私はちょっと感動しちゃった。そのへんを歩いている緑のアリ「ツムギアリ」もツアーで教えてもらいました
体は明るいオレンジ、腹部が鮮やかな緑色の、とってもかわいらしい「ツムギアリ」もそのへんを歩いてますので、ぜひ地面も見てみてください。アーミーダックのガイドさんに「あの木の上にある葉っぱのもっさりした部分が、ツムギアリが葉をくっつけてつくった巣だ」と教えてもらいましたが、こんなに雨の降る土地で葉っぱの巣でいいの? いやむしろ、地中だと流れてしまうのかななど、考えることがたくさんありました。
さて、キュランダは村そのものがひとつのお買い物スポットです。場合によってはむしろ安いというのも特徴で、たとえば今回ご一緒した牧野ママは貴金属店でコアラモチーフのホワイトオパールネックレスを割引してもらって購入していました。なんと79ドル! こういうモチーフアクセの掘り出し物がちょいちょいあるので、目利きさんはショーケースをよく見てください。
キュランダの「オリジナルマーケット」は1970年代、地元のアーティストグループが作品の販路開拓のために設立したのだそう。なるほど、村全体がどことなくヒッピーというかサイケデリックテイストなのはその流れなのですね。ここでは松木ママがはちみつをテイスティングして購入、でもそれも地元産はちみつなのに1本10ドルと格安でした。
もうひとつの「ヘリテージマーケット」には今回行けなかったのですが、コアラ抱っこ写真が撮れる「コアラガーデンズ」、鳥好きなら必見の「バードワールド・キュランダ」、青く美しい蝶を見られる「オーストラリアバタフライサンクチュアリー」と同じエリアにあります。
キュランダツアーダイジェスト pic.twitter.com/wVxkhiNsMo
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帰路は「世界唯一、熱帯雨林の上空を飛ぶ」ロープウェイ、スカイレールで
青い蝶、ユリシスは、3回見ると幸運が訪れ、もし頭にとまってくれたら大金持ちになれるのだそう。実は私は前回訪問時、ロープウェイ「スカイレール」の車内から見事に4匹見ることに成功しました。しかし、この日は雨。残念。
帰路の「スカイレール」は全長7.5のロープウェイ。途中2回乗り継いで、キュランダからスミスフィールドまで降りていきます。
乗り継ぎ駅からは散策路が伸びています。バロン滝駅からは、上りの列車で見た滝を反対側から見ることができます。ほんと、雨が残念。
レッドピーク駅からは30分に一度、熱帯雨林の植生についてレンジャーによるガイドツアーが出発しています。寄生植物ではなくて「着生植物」のバスケットファーンの説明なども受けました。スカイレールは世界で唯一、熱帯雨林を上から眺めることができるロープウェイ。木の上に生えたバスケットファーン(かご状に成長するシダ)の中には大きな蛇が寝ていることもあって、それをスカイレールから見つけることもできるのだそうです。晴れていればな。
前回撮った写真からご紹介します。晴れていれば見られたはずの、スカイレールからの熱帯雨林。うっそうと茂った上をロープウェイが移動します。このロープウェイの建設は自然に高度に配慮し、木材の伐採も最低限にとどめ、移植し戻すなどの手間をたっぷり注ぎ込んだそうです。
晴れていれば見えたはずのバロン滝。アボリジナルピープルのうちこの地に住まう一族がこの川を下る蛇の伝説を伝えるそうです。
晴れていれば(略)レッドピークからのガイドツアーで説明を受ける「つる性の植物がつかない仕組みのある木」カウリパインの古木。樹皮がつるつるなうえ、樹皮ごとすぐにはがれて付着するつる性植物を落としてしまう仕組みなのだそうです。よくできてますね……。
晴れて(略)レッドピークからの雄大な、どこまでも続く熱帯雨林。終点のスミスフィールドでスカイレールを下車、シャトルバスで振り出しのフレッシュウォーター駅まで送ってもらって帰宅しました。ここもポイントで、もし往路を列車にする場合、本当はスカイレールを下車するスミスフィールドに車を停めておいて、シャトルバスでフレッシュウォーター駅に向かったほうが効率がよいのですが、逆行してしまったのでこの手配ができず、いろいろかみ合わせの悪い内容になってしまいました。基本的にはスカイレール→キュランダ村での各種体験→列車(ゴールド)というルートで、ケアンズ市街のホテルからの送迎がついたものを選ぶとよいと思います!
エアビーに戻ったら、サプライズで誕生日ケーキのプレゼントが!
さて、この日、私の娘は12歳の誕生日を迎えました。トリニティ・パークのエアビーに戻ると、なんと、牧野&松木ファミリーがご手配くださったデコレーション&ケーキが!
じつはエアビーのお品書きに「バーステイも対応するからリクエストしてね!」とあったそうで、両家がサプライズでご用意くださいました。ありがとうございます、一生忘れられないお誕生日です。
大人はペンフォールズのシラーズで乾杯! 牧野パパはワインマニアなのでリカーショップでささっとセレクトしてくれました。コルク抜きがないと大騒ぎしたのですが、いざボトルを手にとってみたらなんとスクリューキャップでした。オーストラリア産ワインは結構な高価格帯でもスクリューなんですって。
これはもう、エアビー借りる人は絶対全員楽しんでもらいたい、屋外グリルでのBBQ。地元の人に伺いましたら、お肉を買うときは「リブアイ」を買えばよいそうです。最高に美味しいぷりっぷりで甘い赤身、これ1枚600gで2000円ほどでした。もう実質無料でしょという世界。
棚のお写真です。拡大してプライスをご確認ください。毎日リブアイでもいいなと思うくらいに美味しいです!
たっぷり食べて、ばったんと寝ます。というのも、明日は「川のアクティビティ」で、朝7時半集合だから! お家を7時に出るのです、みんな寝て寝て!
つづき(4月13日20時配信)>>>リバーチュービングって知ってた?「楽しすぎて帰りたくない」そして超オススメのケアンズご飯は「このためだけにでも来たい」#4