みなさん、こんにちは。インテリアアートスタイリストの胡桃(くるみ)です。このコラムでは、絵のある生活の提案をしてみたいと思います。
さて、みなさん運命の1枚は手に入れましたか?額装されていないポストカードやお気に入りの絵はありますか?額装されていないものがあれば、是非額屋さんへ出掛けてみてください。何倍も楽しみが広がりますよ。
【インテリアアートスタイリストが教える「アートのある暮らし」#4】
子どもの落書きからポストカード、そして気に入った「アート」まで、すべては「額装」で決まる!
額装をしてくださるお店も色々です。ポスターや絵葉書などなら、100円ショップやIKEAなどの量販店で購入しても良いと思います。でもお気に入りの1枚が規格サイズでない場合や、特別な思い入れのある作品であれば、思い切って街の額屋さんへ出かけてみませんか?
今回は銀座の老舗額屋さん、誠美堂さんへ伺いました。
銀座の額屋さんというと、敷居が高そうに思うかもしれませんが、全然そんなことはありません。今は都会でも額屋さんは減ってきてしまいましたが、量販店と違って、絵に合わせて色々と相談に乗ってくれます。
出掛ける前に準備したほうがよいものがある。何かというと…
額屋さんへ行く際に、額装したい絵の他に用意したいのは、飾りたい場所の写真です。
額によって、絵の雰囲気はとても変わります。そして飾りたい場所の雰囲気に合わせるのも大事です。額屋さんはプロですので、飾りたい場所の写真と一緒に相談しましょう。
その他、小さい絵であれば、カルトンのようなモノに入れて、もしくはダンボールなどに絵を挟んで、フラットにして持ち込むのもOK。大きいポスターなどは丸めても仕方ないですけどね。額屋さんには色々な既成額やオーダー額の合わせ用の見本がありますから、クルンと丸まってない方が雰囲気を掴みやすいですよね。
やはり、絵のカドを額に合わせて「これだ!」という瞬間があるのです。
イケアや100均で選ぶ段階から一歩進む。「額屋さんだからできること」とはいったい何か?
今回、額屋さんへ持ち込んでみたのは、昔出かけた展覧会のチケットと、その際に購入したポストカードです。
皆さんもそんなポストカードがごそっと入っている箱の一つや二つありませんか? 今時は絵入りのチケットなど珍しいかもしれませんが、なかなか面白い額になるかもしれません。
早速、誠美堂のご主人に相談すると、ノリノリです。「できるよ」「こっちのがいいんじゃないかなあ」などなど、額とレイアウトが決まります。パネルと違って「マット」を切るのが、額装の楽しみの一つ。絵のためにもマットが入る方が良いのです。グンと高級感も増します。
1週間ぐらいで仕上がるとのこと。嬉しい。楽しみ〜!
さらにお気に入りのいわさきちひろさんのイラスト。これは版画でなく色紙サイズのコロタイプ印刷と呼ばれるもの。出版社から色紙サイズの画集として売られていたものの1枚です。
購入した時は、ビロードの濃紫と金枠のマットの色紙額で、ちょっと昔の旅館風。可憐なイラストに合わせた軽い額装にしたかったのです。
色紙サイズなので、洋風の色紙枠などもあるんですが、色々合わせてみてなかなかシックリきません。
これも違う。
これだ!
かくして、結論は「絵を切る」というタブー。まあこれは本当になかなかしないことですが、もちろんオーダーで作ることもできるのですが、今回はプリントで華奢な絵で軽めに飾りたかったので、思い切って額に合わせてカットして頂き、こちらの額に収まりました。
「べらぼう」の頃にはなかった仕事だけれど…額屋さんの歴史を聞くのも楽しい!
色々オーダーしながら、ご主人との会話が楽しめるのも一興。今回の誠美堂さんは、「多分日本で2番目か3番目に古くからやっているんじゃないかなあ」とのこと。元々は戦後に池袋の立教大学の近くの芸術村あたり(池袋モンパルナスと呼ばれた頃ですね)にあったのが銀座に越してきて永く、今のご主人は2代目だそうです。
百貨店の仕事や美術館の仕事などが多く、「ゴッホ展だけでも8回ぐらいやったよ」なんて昔話にも花が咲きます。以前は展覧会でも額装屋さんが出店をしていたんですね。ポストカードを額装して帰られるお客様も多かったようです。こうしたお話が聞けるのも額装の楽しみの一つです。
私だけのための、私の額装。こんなに素敵に仕上げていただけるんです!
さて、先のチケットとポストカードを合わせた一枚はこちら。
素敵でしょ? 1998年の「ディアギレフのバレエ・リュス展」のチケットとその時購入したポストカードです。古い箱に入りっぱなしのものが、額装して思いっきり楽しめます。
お気に入りのポストカード1枚でも親身に相談に乗ってくれて、額を一緒に選んでくれるのは本当に楽しいです。額装で本当に絵の見え方は変わります。安価な既成額も沢山あるので、是非一度お出かけくださいませ。
今回は街の額屋さんに出かけましたが、作家が自分の作品に合わせてオーダーする「額装屋さん」も、数は少なくなりましたがいくつかあります。またの機会にオーダーメイド額の世界もご紹介しますね。
つづき>>>飾りたい絵を1枚、安価に手に入れる。「楽しめる」「ストレスにならない」「損しない」オークションの使い方とは