【炎上マーケティング】という言葉をご存じだろうか。失言やよからぬ行為で世間を騒がせ、注目を浴びて売上を挙げる商法のことだ。こうした炎上マーケティングは上手くいけばお金が舞い込む機会につながるが、世間からの信用を損なうこともしばしば。基本的には、自然発生的に炎上し、その勢いは、長くても一週間持つか持たないかの一過性。息の長い宣伝広告活動を続けるより、一気にプレビュー数を稼ぎ、ユーザーをふるいに掛けられるという効率の良い面がある一方、世間様に顔向けができなくなるリスクを考えると一長一短だ。炎上マーケティングにはいくつか方法がある。中でもメインストリームと言われている3つの方法が存在する。
やらせ・捏造・自作自演:企業側が自らにとって好都合な内容の情報を他者を騙って発信していることが暴露された場合など
放言・暴言・逆ギレ:企業に属する誰かがネット上で迂闊な発言をしたことがきっかけとなる場合など
悪ノリ:従業員がふざけて食品を不衛生に扱う写真などをネットに投稿する「バイトテロ」など、若者たちの迂闊な行動でネット民を煽り立てるなど
そして最近、ある若い女性の「悪ノリ」で吐いた放言が話題となっている。
ゴールデンウィークも終盤に差し掛かった、こどもの日の早朝。東京都心で震度5弱(千代田区)の地震が襲い、NHKの取材陣は慌てた様子で表参道の交差点の一角で地震の影響を伝える中継をしていた。そこに、朝まで遊んでいたであろう若者の団体が写り込み、一人の若い女性が足元をふらつかせながら、火のついた煙草を持った反対の手でカメラを指さし「地震なんてないよ!」と叫びはじめたのだ。さらに、カメラを前に、路上キスを披露し、ネットが大炎上!!以下はネットに寄せられたコメントだ。
「地震とかいう前に酒でちどりあしw すでに揺れてるというw」「路上喫煙者発見!!条例違反!!」「かわええwわいにもキスしてくれ!」「この女、次の日会社クビになってたりして(笑)」
瞬く間にネット上で拡散され話題となり、若い女性の特定作業が急ピッチで進み、事件発生から数時間後には特定され、若い女性の経歴がさらなる炎上の燃料投下となった。
彼女の名前は東森美和(22)、大阪府出身のタレント。主にスチールやCMなどで活躍しており、関西電力やXperiaなどのCM出演など輝かしい経歴の持ち主だ。ちなみに、プロフィールに記されている「嫌いなタイプ」は"マナーの悪い人"だそう。あまりの騒動に特定直後、彼女のTwitterは数日間閉鎖され、事件の釈明を求めるネット民らの声を塞き止めた。彼女がタレントであると特定されるとネットでは「炎上商法」や「売名行為」というワードが見受けられるようになり、芸能人であるからと浅はかな憶測が行き交っていた。
一時はTwitterアカウントを封鎖していた東森さんだが、7日に再公開し、ブログで「今回5月5日早朝に起こった地震のNHK地震速報の件で大変お騒がせ致しまして申し訳ございません」と謝罪した上で、ネット上で拡散される自身のプロフィールの中には何点か間違い含まれていること、今回の件についていずれなんらかの形できちんと説明することをあらためて伝えていた。また、ブログのコメント、Twitterのメッセージで質問も受け付けると語っている。ブログのコメントでは批判だけではなく、芸能界での成功を応援するメッセージや、「地震なんかないよ!」を流行語大賞に推薦する声援も書き込まれる展開に。さらには、Yahoo!検索の人物ランキングで初登場ながら、不動の「嵐」を抜き去り、堂々の1位に輝くなど、炎上マーケティングで知名度アップに成功。この騒動をきっかけに、災害リポーターとしての活躍もあり得る話だ。しかし、地震被害中継には連れて行けないだろう。「地震なんかないよ!」なんて言われたら大変なことになるからね(笑)今後のタレント活動に期待したい。
【執筆者:王林】
《NewsCafeコラム》
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