国益と"知る権利"の両立に向けて…特定秘密保護法案 | NewsCafe

国益と"知る権利"の両立に向けて…特定秘密保護法案

社会 ニュース
「国家秘密に係るスパイ行為等防止に関する法律案」…通称「スパイ防止法案」が自民党所属議員により議員立法として提出されたのは、1985年のことである。外交・防衛上の国家機密事項に対する公務員の守秘義務を定め、これを第三者に漏洩する行為の防止を目的とする…至極当然のように思われる内容の法案はしかし、審議未了廃案となっている。
なぜなら当時の野党(日本社会党・公明党・民社党・日本共産党・社会民主連合など)が断固反対を主張したためだ。また大多数のマスメディアも「一般国民の権利制限に直結する法律であり、報道の自由が侵害される」として一斉に反対を唱えた。
そして、今月15日の臨時国会で与党が成立を目指す「特定秘密保護法案」についてもまた、1985年当時と酷似した状況になっていると言っていい。テロやスパイなどの脅威から国を守ることを前提とした法案でありながら、政府による情報管理・言論統制を懸念する声、国民の「知る権利」や「報道の自由」を脅かすとする反対の声も大きい。
そこでNewsCafeでも「特定秘密保護法案についてどう思う?」というアンケートが実施されたようだ。ランキングとともに寄せられた声をご紹介しよう。
※回答総数…1086件

【特定秘密保護法案に賛成(46.6%)】
■国民の知る権利・報道の自由は、守られるよう明記されます。逆に機密情報を外部(特に敵対国)に脅かされる方が問題。[女性/30代/主婦]
■スパイ天国日本でハニートラップに引っ掛かる役人がどれだけいるか知る機会になるよ。[男性/40代/自営業]
■つっても国家公務員の末端や市民が知れる情報なぞ端から少ないだろうけどね。[男性/20代/その他]
■今までの罰則は緩すぎる! 国家の機密を漏らすこと自体が極刑に値する。[男性/10代/学生]
■職務上知り得た情報を洩らしまくるのが悪いでしょ。[女性/40代/その他]
■良し悪しがあるんだろうけれど、鳩のような人がいるから必要だと思う。[女性/20代/会社員]
■今までこの手の法律がなかったのがおかしい。ほとんどの国にありますよ。[男性/50代/専門職]

【特定秘密保護法案に反対(28.3%)】
■秘密にする規定ばかりで逆に公開に関する規定がない。外国の同様法律では、いかな機密も一定期間後に必ず公開される規定がある。[男性/40代/その他]
■気付かぬうちに犯罪者になりかねんよ。[男性/40代/その他]
■問題は一般国民に適用される事。公務員だけじゃない、騙されちゃいけない。[女性/50代/会社員]
■報道の自由は守る、って言うけど、要するに大本営発表だよ。国益を損なう行いの告発すらできなくなる。[男性/40代/フリーター]
■尖閣諸島での中国船がぶつかってきた映像を公開した海上保安官を、賞賛した人は多かったはず。こういうのを規制するのが今回の法律。[男性/50代/会社員]
■いまの内容じゃダメ。もっと内容を明確にして国民に説明を![男性/40代/専門職]

【わからない(25.1%)】
■スパイ防止法のが先やろ。[女性/40代/その他]
■規制の方向が単なる言語統制にならなければいいけど…(汗)。何もしないよりは良いんだろうけど、変な流れにならない事を願いたい。[女性/50代/フリーター]
■何が何だかわからない。[男性/50代/その他]
■使い方次第…各々のモラルとベクトルでね。[女性/40代/自営業]

結果、賛成派が4割超と多数派ながら、反対派も3割程度と少なくはなく、また4人にひとりは「わからない」と答えている…つまり、国民に"迷い"があると判断することができる。少なくとも、多くのメディアが唱えるほど「知る権利の侵害になる! 絶対反対!」という論調ではないわけだ。
反対派の意見を見ても、この法案について"危険だから断固反対"と考えている人は少ない様子。「現在の内容では曖昧」「国益に繋がるリークまで同様に規制されるのでは」「自分の発言が思わぬトラブルを招くのでは」などの不安から反対に票を投じたケースが多く見られる。
つまり多くの日本国民が知りたいのは「法案が成立した場合、何をどうすれば罪になるのか、ならないのか」…その具体的な例だ。政府は「知る権利や報道の自由などの国民の基本的人権を不当に侵害してはならない」といった趣旨の文案を検討しているというが、これらの権利がどのように担保されるのかに注目していきたい。

[文・能井丸鴻]
《Newscafeアンケート》
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