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シルバー民主主義

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早いもので、明日からは師走である。
「先生も走るぐらい慌しい」と言う12月であるが、今年は20数年ぶりの師走選挙で「お願いします」でにぎやかな12月になるのだろうと思う。TV的に言えばNHKの放送枠が「立候補者の政見放送」で独占されるのは仕方ないが、例の12月12日のマヤの大予言もありで大災害があったらどうするのかと人ごとながら心配になるのである。
3年前の「長年続いた自民党政権から民主党政権への政権交代」は「チェンジと誇大宣伝的なマニュフェスト」をもとにしたムード作戦で、若者が積極的に事前投票を含めた投票に参加した為といわれているが、実のところは「自民党・保守系政党の頑強な地盤と言われた高齢者が自民党を見限り、民主党に投票したため」と分析されている。
まさに「高齢者パワーが政権を変えた」のである。世界の民主主義国家においては、選挙の公約は「投票してくれる人を意識した項目が並ぶ」のは常識である。日本でも30年ほど前は組織を持つ団体やグループ「労働組合・農協・医師会・教職員組合・建築業界…」への慮りが目立ったのである。しかし現在は組織の力が弱まり「どの世代を味方にするのか」が重要になっている様に見えるのである。
その点で「有権者の年齢構成」そのものが選挙の帰趨を決めようとしているのである。少子高齢化の中で「多数派の高齢者の利益」を政治家が優先する「シルバー民主主義」の時代が到来しているのである。識者は『年金や介護など様々な分野で世代間の不均衡と格差(負担と自給のバランス)が広がっている。その背景には「高齢者が多数派」と言う現実がある。60才以上の世代が有権者に占める割合は「1980年には20%弱だったのが2010年には40%弱に増加」している。また投票率は高齢者の方が圧倒的に高く、2010年の参議院選挙では60才以上の投票者が全体の45%弱を占めた。この結果「投票者の平均年齢は56才」と上昇している。今や政治家や政党にとって支持拡大の最大の要件は「若い世代の負担を増やしても高齢者を喜ばせる政策を提示する事」が合理的行動となっているのである』と恐ろしい事を言うのである。
高齢者の凄さは口では「若者を大切に」と言いながら医療費の負担が上がるだけで「年寄りを殺すのか」と騒ぐところにある。選挙の専門家は『現在の選挙制度である限り「シルバー民主主義」を覆すのは難しい。人口比で見る限り「永遠に高齢者の票が大切」と言う一票の格差は続くのである。このまま放置すると若者の反乱が起きる』と危惧している。この事態を解消し若者に有利な政策を政治に掲げさせるには「20歳代の一票は2票に数える」と言う様な大胆な改革が必要との提言もあるくらいである。果たしてどの党が「若者を考えた公約」を掲げるのか…気がもめる12月である。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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