女子マラソン…不振のワケ | NewsCafe

女子マラソン…不振のワケ

スポーツ ニュース
ロンドンオリンピックまで100日を切り、メディアでは徐々に「ロンドン情報」が増えてきている。
ロンドンの下町・再開発地区の「メインススタジアム」も間もなく完成。この地区が生んだ英雄がサッカーのベッカム選手だ。テロ・交通渋滞・メインの交通手段である地下鉄の混雑の心配はあるが、イギリス人のことだから上手くやると思う。

日本では期待の「なでしこ」の予選組み合わせも決まり、早くも大会の金メダル予想が始まっている。日本体育協会としては強気で、前回の北京大会の「金9・銀6・銅10」を上回りたいようである。どの色のメダルにも、それなりの価値があるが「記憶に残るのは金色」だ。

柔道・体操・水泳・レスリングで幾つかの金メダルが読め、かろうじて北京・9は上回りそうだが、金・16のアテネはむずかしい。女子バレーボールや女子マラソンなども大いに頑張ってほしいが…特に2000年シドニー、04年アテネ五輪と2大会続けて金メダルを獲得し、かつては日本のお家芸と言われた女子マラソンが、ここ数年は元気がないのが気がかりである。派遣女子選手3人はサバイバル這い上がりの選手も入っているが、水泳の全員一発勝負に比べると、相変わらずもやもや選出だ。

国内のマラソンレースを見ても全体として女子マラソンのトップ選手の高齢化が進み、全体のタイムも伸び悩んでいる。
「中学や高校の駅伝も盛んで、女子長距離の裾野も広がったはずなのにどうしてなのか」と指摘する声も多い。

元実業団の監督であった識者は次のように警鐘を鳴らす。

『女子マラソンの低迷の原因がジュニア期の競技活動と何らかの関係があるのではないかと考え、過去の五輪と世界選手権の女子マラソンのメダリスト、入賞者を含む全ての実業団と有力クラブチームの長距離選手424人にアンケート調査を実施し383人からの回答を得た。その結果、五輪、世界選手権など国際大会の代表に選ばれている選手の方が「中学時代は朝練習をしなかった・オフシーズンが長かった・走る距離も少なかった・月経異常も少ない・競技を楽しんでいた」ことなどが分かった。中学、高校駅伝の強豪校は、実業団並みのハードなトレーニングをさせている可能性がある。この結果体脂肪率が低くなり、長期間、月経のない選手もいる。そうした選手は、ホルモンのバランスが崩れて骨密度が低い状態となり、次第に疲労骨折など故障をしやすくなる。駅伝の強豪校のエース選手は、力はあるけど、おそらく半分以上が燃え尽きたり、故障したりして大人になるまでに陸上競技をやめてしまっているのではないか。ジュニア選手の指導者は、すべてを出し切らせてはだめ。将来を考えて、まず土台を大きくしなくては』

今や「駅伝」は世界語になっているが、男子マラソンでも「箱根駅伝からマラソンの優勝者は出ない」と言うジンクスがあると聞く。冗談めくが、一生に走れる距離は決まっているのかもしれない…と思うのである。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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