国の新年度の一般会計予算は、概ね90兆円・半分以上が借金の赤字国債・20兆円が過去の赤字国債の当年度の利子・国の国債残高はおよそ1000兆円…と聞くと「今にも日本は破産する」とイメージされる。
国の特別会計を含んだ年度予算総額は250兆円を越すのだから40兆円余りの赤字国債の発行は問題ない。国の資産類は8000兆円あり、どこかの国の様にすぐ破産とは行かない。しかし特別会計予算は使途限定であり、国の資産はキャッシュではないのだ。
その意味では「すぐ使えるキャッシュが足りない」のである。政府の最大の仕事は「どこから・どのような方法で税を取るか」であり「取り易い消費税で取る」となりがちである。
諸外国でも、いざとなったら消費税で多くの国で15%~25%となっている。国の金庫にお金が無いときは「紙幣を刷る」と言う荒業がある。インフレ含みの好景気も予測される。もちろん国債の利子払いは増えるが、日本の国力なら持ちこたえられる。
そこまで行かなくても「非課税の宗教法人から取る・消費税を受け取りながら納税をしない事業者からキチンと納税させる・大手企業に多い赤字企業からも一定の税金を取る・自営業者や農業等の第一次産業の納税をきちんとする」などの手はまだ残されているのである。
そんな国としてやるべきことを放置して、冗談の様に飛び出してきたのが「国民の休眠預金口座の預金を国が召し上げて使おう」と言う仰天プランである。多くの家庭には、放置されている貯金通帳の類がかなりある。銀行口座の総数が10億口以上ある事は、かなりの貯金通帳が「眠っている」証左なのである。
休眠口座とは、最後のお金の出し入れ・定期預金の満期日から10年以上放置されている口座で、残高が1万円未満の口座&残金が1万円以上だが預金者と連絡の取れない口座の事を言う。
毎年800億円程度が「休眠口座」となり、一旦銀行の収入となり、銀行は税金を国に払っている。あくまで預金だから銀行には、永久に払い戻しの義務はあるのは当然である。毎年の払い戻金・法人税分を除いても「毎年300億円程度」が休眠金として国が召し上げる事が可能と見られている。
我が家にも、昔作った口座の通帳がいくつもある。又使うかも知れないので1000円残してある類の通帳だが、ここ20年余りの銀行の合併で、どの銀行か?合理化で支店が消滅・カードはあるが通帳がない、そして通帳はあるが印鑑がない。
この"国民の懐である休眠口座"に手を突っ込もうとのプランには、さすがの銀行も「銀行の信頼性が傷つく・国民の財産権を奪う」と大反対。関係者は「銀行はキチンとデーターを保存・管理している。とりあえずあるものを持参して、窓口に行けば大方はどうにかなる」と言う。
ずさんな国の年金管理とは大違い。何を起こるかわからない時代がやってきた。とりあえず「眠っている貯金の確認と払い戻し」を急ぐのが上策と思う。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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