私は年間数百名の大学生と接する機会があります。
10年前に企業内で採用担当をしていたころから続いていますので、既に1000人以上の学生さんとお会いしていることになります。
私の場合は、キャリアカウンセリングをしたり、ワークショップでダイレクトに彼らの人生の話や、価値観の話に触れるので、メディアに出ているデータでは表現できない事実を目の当たりにします。特に就職活動前後、ストレスのかかった状態の学生さんにお会いするので、より課題や問題にぶつかることもしばしば。大学生が就職活動の際にあげる悩みは、下記のような特徴があります。
1,今まで打ち込んできたことが何もない
2,やりたいことがないので志望意欲が書けない
3,強みがないので自己PRができない
4,失敗したくない
社会人の方にも同じような傾向が見られますので、学生に限ったことではないかも知れませんが、自己肯定感が低い方が多い印象。面接や面談の途中で泣き出してしまう学生さんも多く、目に見えない不安で彼らはとても焦っています。
しかし、学生さんたちと丁寧に対話し、彼らの今まで生きてきた人生の話を聞かせてもらうと、みんないろいろな経験をしていたり、とても一生懸命生きています。そしてどんな人でも、人生を通して成長していく力はあると感じます。それなのに自己肯定感が低く、自分のことを信じることができなかったり、自分のことを否定してしまうのです。
子どものころから「答え」を出す訓練はされてきている彼ら。しかし自ら「問い」を立てて「解」を導き出す訓練をしている学校や先生はまだまだ非常に稀です。この訓練こそが自己肯定感を高める方法。答えだけで評価されるため、自分の強みを感じたり「頑張った」と感じられることが少くなってしまうのです。
どんなことでもいいし、どんなものでもいい。
自分で「問い」を立てて、「解」を導くためのプロセスを大切にし、どんな「解」でもいいから出してみる。「解」がうまく出なくても、「解」が正解ではなくても、出た「解」についてまた「問い」を立てる。継続してやり続けてみる。それだけでも本人の自信につながることもあるのです。
たとえば、日常生活などでもよいと思います。
「なぜ挨拶をしなければならないのか?」
「なぜ学校へ行くのか?勉強をしなければならないのか?」
「どうして大人は働くのか?」
世の中のすべてのことが「問い」で溢れているのです。
「○○しなさい」「○○すべき」と言いそうになったときにこそ、ぜひ、「なぜそれをしなければならないのか」を一緒に考えてみることも問いの1つ。それを自ら考え、自ら問いを立て、自分なりの「解」を導き出し、それについて、一緒に議論したり、対話をする。それだけでも子どもたちは、自分で考える力を身につけ、自分で仮説を立てて、それを検証したり実践したりする中で、新しい学びや気づきを得、自分に自信を持てるようになっていく…。彼らと接する中で感じた大きな点です。
ぜひ大人は何かを教えるだけではなく、子どもに「問い」を立てて下さい。一緒に考えるプロセスはとても大事なのです。どんな「解」が出てきてもまず受け止め、なぜその「解」を子どもが導き出したのかを一緒に考えてあげてほしい、と深く感じます。
[ライター 齋藤めぐみ/コンサルタント・キャリアカウンセラーとして企業、個人のクライアントへのコンサルティングを行う。ccE,Inc 認定 GCDF キャリアカウンセラー。詳細はオフィシャルサイトまで(http://www.megumi-saitou.jp/ )(PC専用)]
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